前回(マリリン・モンロー)と同じく女優さんのドキュメンタリーですが、こちらは映画のようです。1995年制作。
それにしても、不幸な結末になる人のドキュメンタリーが多いこと。そういう人のほうが「物語」になるのかも知れないけど、ちょうどこれらが注目を集めた90年代サブカル世代が、のちに「こじらせ」ていく流れとどこか共通しているような気がして、今思うと暗示的です。
彼女も「セシルカット」で話題を集め、ゴダールの「姫」になりかけましたが、輝いていたのはそこまでで、彼女の代表作はそれ以降ないし、ゴダールの「ミューズ」も公私混同のアンナ・カリーナに取って代わられてしまいます。
その後に彼女がこうして話題にされたのは、ビンテージ復活とサブカル文化が花開いた90年台であり、もうすでに彼女はこの世にいません(1979年。40歳で自死)。
前述のモンローも不遇時代はいろいろありましたが、彼女の場合はそれを糧にして乗り越えたような強さも持っていました。しかしジーン・セバーグの場合は(この映画を見る限り)横暴監督にいいように振り回され、精神的搾取されたという印象です。
ジャンヌダルクのエピソードもヒドいし、その後の代表作「悲しみよこんにちは」「勝手にしやがれ」でも、理不尽な監督やスタッフと常に戦ってる印象です。ヨーロッパに「出稼ぎに来ている」という弱みもあったのかも知れません。
そういう意味では繊細すぎたのかなとも思ったし、「仕事だからと頑張る」誠実さを持っていたがゆえ、すべての理不尽さをマトモに心で受けてしまったのかも知れないとも思いました。この辺は、今の「何も知らないのをいいことに搾取されるアイドル」の姿とも近いものを感じます。
後半のブラックパンサーとの繋がりなどは、ちょうど先日ココで取り上げた「姉のいた夏、いない夏」のリアル版みたいです。そうして何かに縋って堕ちてゆく。まさに「こじらせ女子の結末」ですね。
似たような顛末となった女優さんで、私がよく知ってる人では「スー・リオン」がいます。キューブリック監督「ロリータ」の主演女優さんですね。彼女も90年代サブカルの中で取り上げられた人でした。ハート型のサングラスは有名です。
90年代文化にどっぷりだった私は、あの時代を「光り輝いて楽しかった」と思ってたのですが、こうして考えると、どれも「病んでるが故の刹那的輝き」だったのかも知れないなあ…とちょっと思いました。みんなこれからどこへ行くんやろ…。
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