柳美里さんの実話を元にした原作を元にした映画。初見(2002年)のときはリアルすぎて辛すぎて見るのがキツかった。当時の僕は映画というものを「どこかへ連れて行ってくれるファンタジー」として見ていたので、リアルすぎるものは受け入れられなかったのだ。こういう内容だと知ってたのにわざわざ見た理由は、トヨエツと江角さんが出ていたから。当時好きだったのだね。
というわけで、辛すぎて、その後は一度も見返さなかったこの映画。17年ぶりに見てみてどうだっただろうか。当時、リアルで辛い、と感じた部分が、当時ほどストレートに伝わってこない。実在の人物をモデルとしているため、その人物や関係者に遠慮して突っ込めなかったんだろうか?とまで思ってしまった。今ならもっともっとエキセントリックな表現でもよかった気がする。もちろん、こういう「抑えた演技」こそが伝わってくるという人もいるだろう。しかし私は当時ほどは胸に来なかった。理由も想像ついた。つまり。17年の間に「自分自身のリアルも十分ヘビーで過酷でキツくなった」ということである。だから感情に耐性がついたのだ。喜ぶべきことなのかはわからないが。そういうことだったのだろう。
この二人のような複雑な関係、クリエイターどうしなら「よくあること」だと思う。私もトヨエツと同じ立場なら、彼女の希望を受け入れてしまう可能性が高いなと思った。その部分はとても共感した。17年前に自分が想像してた自分の人生より、実際の17年間の自分の現実のほうがぜんぜん映画的だった。なので、これを見て「自分や知り合いに起こった、よくある出来事のひとつ」みたいに「普通に」見れてしまった自分が面白かったなと。
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