愛する


遠藤周作の作品を元にした映画。見た人みんなが言っているが時代設定がよくわからない。一応「現代(1997年)」という設定らしいのだが。原作通りの時代設定(60年代)で作り始めたが、事情があって途中から現代に無理くり変更してしまった?というような印象を受ける。世間の大きな出来事とリンクさせるために辻褄を合わせたのだろうか。

とはいうものの、違和感ある「現代」の場面は多くなく「そんな設定」を忘れてしまえば概ね没頭できる。題材的に、やはり「砂の器」とどうしても比べてしまうが、こちらも絶望感はちゃんと描かれてるように思う。遠藤氏の「おバカさん」もそうだが「お人好しすぎる」天使のような人(酒井美紀)の「無償の愛」に周りが絆されていく、というのは、自分の経験も相まって何度見ても切なさがある。気持ちはわかるのだけど、それでも「すまんなあ…」と思いつつ、自分は応えられないし自分のやりかたで生きていくしかない。そこは荒んでる男性(渡部篤郎)の方に気持ちを投影してしまう。もちろん、施設に残って収容者の世話をする、なんてことも自分には到底出来ないことだから、無垢すぎる天使の酒井さんの様子に胸がキリキリ痛む。でもやっぱり自分には出来ないよなあと思う。
私が「砂の器」を見たのは中2の頃だったが、そこから40年近く経って、同じ題材をテーマにしたこの映画を見たとき、当時と似たような感想を抱いた自分に「ああやっぱり人の気持ちって変わらないんだなあ…」としみじみ思ったのだった。でもしょうがない。私は私のできることをするしかないのだ、と。

白線流し、ラブレターと続いて「酒井美紀さん天使化」3部作。下の写真、白線流しじゃありません。そういう意味でのデジャブ感もたっぷり。

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