正確には映画ではなく WOWOW オリジナルドラマだった。2003年作品ということだが、化粧品業界でバリバリ働くキャリアウーマンを、相変わらずの古い考えで邪魔する婚約者とその母、そして避妊もしないパワハラ愛人上司というような設定など、描かれる女性の立場が悉く「前時代」感あり、リアル2003年もそうだったっけ??自分の周りのことを思うと、もうそんな時代ではなかった気もするが、いや、でも実際もそうだったかもしれない…などと記憶も曖昧になってしまうのは、今現在の日本も、大して変わってないからである。妊娠し産休で第一線から退く女性上司のマタハラ問題提起に関しても、まるっきり今に通じるもので、それを考えると「設定古くない?」では済まされない重いものを感じる。この20年、日本は本当にいろんなものを失ってしまったのだなあ…と。
まあそんな「よくある」流れでドラマは進んでいくものの、「やり手」な葉月里緒奈さんがどんどんのし上がってくのは小気味よいし、またコスメティック業界ということで、綺麗なものや人がたくさん出てくるし(私は電車で化粧する系女子も好きです)、ずっと見ていても不快な映像ではない。嫌なもの、汚いものが登場しない、というのは私にとって映像作品における大事な評価要素の一つである。ただ高価なホテルやシャンパン、年代物のワインなどといった(接待営業に使う)小道具はいかにもスノビズム&バブリーで、そこは今の時代、リアリティ的に受け入れられない人もいるだろうと思った。
葉月さん本人が、このあと散々な人生を送り、その現実を知ってしまっている現在の視点で見ると、なかなか複雑な思いもするが、それでも「きれいな人だったんだなあ」という感慨は変わらず持てた。それだけで見れてよかったと思った。
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